轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

春の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页

青空文庫

御酒を戴いてあんまり好い心持になってツイうとうとと睡てしまったと見えます。僕は御酒を飲むと何処でも構わず寝るのが癖で大きに失礼致しました」と衣紋を繕い袴の皺を伸ばし手巾を袂より取出して再び三たび口を拭う。妻君は下女に命じて茶を一杯客に呈せしめ「お就寝になるのは一向構いませんが大層お魘されでしたからお苦しかろうと思ってお起し申したのです。夢でも御覧になりましたか」客「ハイ見ました、妙な夢を見ました。腹の中で胃と腸とが対談をして頻に不平を溢している所を見ました。僕は学校にいた時分から校中第一の健啖家と称せられて自分も大食を自慢にした位ですから僕の胃腸は随分骨が折れましょう。胃は極度まで拡張し、腸は蠕動力を失っている位だと医者が申します。学生時代に一年中脳病で苦んで思うように勉強が出来なかったのも全く大食の結果で、消化器を害すると必ず脳へ来るそうです。僕ばかりでありません、今の学生がよく脳病だ脳病だというのは大概胃病の結果でその胃病は野蛮的の暴飲暴食から来るのです。僕はそれがために此方の小山君と同時に大学へ入りながら三度も試験に落第して同級生には残らず追越されてしまい、去年の夏辛うじてわずかに卒業し得た位です。