轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
こんな不経済な事はない、あるいは牛肉のバラーを三、四時間煮通してシチュウにしても胃腸へ入ってそれだけに柔くする手数を省いて遣るのだ。牛乳だってコップからガブ飲みにすれば手数がかからんで一番よかろう、その代り腹へ入って胃液のために凝結したり、あるいは外の酸類に逢て凝結するから胃と腸とがその凝固を釈いて消化させるまでに何ほどの手数をかけるか知れない。散々手数をかけてもよく消化し尽せないから沢山牛乳をガブ飲みにすると下痢を起す。それを体外で少し手数をかけて何か料理に交ぜて使えば胃腸はそれだけの手数を免れるでないか。何でもその通り、料理の時少しく手数をかけると胃腸は大手数を免れる。料理の時手数をかけるのが嫌いな人は胃と腸とに大手数をかけさせる事が好きな人だ、我が手足を憐む事を知って胃腸を憐む事を知らない人だ。ちょこちょこと料理を済ませて生同様なものを腹の中へ押込むのは我が胃腸を虐待して憚らざる人だ。我邦には動物虐待廃止会が起ったけれども僕はそれよりも胃腸虐待廃止会を起したいと思う。西洋人の家庭ではどうして食物を美味く料理しようと研究している。我邦の妻君は食物拵えをさも余計な仕事のように蒼蠅がってどうしたらちょこちょこと早く副食物が出来るだろうと手数を省く工風ばかりしている。