轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
春の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,757 字 · 321 页
心を籠めし贈物は書生の悪戯に成りしとも知らず、大原満は奉書の包紙が皺にならぬよう、かけたる水引が揉まれぬようと後生大事に大なる風呂敷へ包み、歩いても近き場所なるを贈物が大切とて車を雇い、心には天晴れお登和嬢を悦ばせんと期して急ぎ中川の家へ赴きたり。門に入りて窃に窺う家内の様子「ハテナ、今日はお登和さんの声がしないぞ、何処へか往たかしらん。イヤ外へ往く所もあるまい、台所にいるだろう」と頻に気が揉める。主人の中川は狭き家とて人力車の門前に停まりたるを知り、如何なる客が来りけんと自ら立出でて格子戸を開き「ナンダ大原君か、何故台所を覗いている。早く入らんか」大原漸く内に入て座敷へ通り「中川君、昨日は大きに御馳走だった。時にお登和さんは」主人「今不在だ」大原「オヤオヤ何処へお出掛だね」主人「今日は小山君の所へ年始に遣った」大原「それは残念」と失望顔。主人も不審に思い「何か妹に用でもあるのか」大原「イイヤそうではないが僕は昨日のお礼にお登和さんの所へ土産物を持って来た」主人「土産物を。それはお気の毒だね、そんな心配は要らんのに。僕が預かっておこう」大原「イヤ、小山君の処なら僕も小山君の家へ往く用があるから向うで差上げよう」