轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
仮令彼が合鍵を持っていたとしても、見通しの廊下にちゃんと番人がいたのですからね。
しかも、あの書生は、一点疑う余地のない人物です。もう三年も此家に雇われている上に、正直者と評判の男です。又仮令あの男が犯人を見逃がしたとしても、家の中には沢山の召使達がいるのだし、玄関にも裏口にも人の忍び入った形跡がないのだから、不思議はやっぱり同じ事です。
そういう考え方をすれば、不思議は色濃くなるばかりです。併し、殺人が行われたからには、犯人が入らなかった筈はない。波越さん、あなたは『蜜柑の皮をむかずして中身を取出す法』というのをご存じですか。高等数学の数式上では、それが可能なのです。つまり、この犯罪は、中学などでは教えない、高等数学に属するものかも知れませんね」
明智は妙なことを云い出した。一体高等数学の犯罪なんて、あるものかしら。又、高等数学を心得た犯人は、そんなに易々と密閉された部屋に入り得るものだろうか。
「目の角度を変えるのです。同じ物体でも、正面から、うしろから、横から、斜めからと、色々な見方がある。そして、見方を変えるに従ってその物体も、ある場合には、まるで違ったものに見えるではありませんか」