轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
「G街の英雄が弱音をはくわね。なんにも聞かないって約束じゃないか。僕を信用しないとでもいうの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
それからは、何を話しかけても運転手は前方をみつめたまま、一ことも答えなかった。
車はU公園の大きな池の縁をまわって坂道をのぼると、長い塀ばかりがつづいている妙にさびしい場所で停車した。
「潤ちゃん、手袋持っているでしょう。外套をぬいで、手袋をはめて、上衣のボタンをすっかりはめて、帽子をまぶかにおかぶりなさい」
そう命令しながら、男装の麗人は、自動車のヘッド・ライトもテイル・ライトも車内の豆電燈も、すっかり消してしまった。
あたりは街燈もないくらやみであった。その闇の中に、まったく光を消し、エンジンを止めた車体が、めくらのように立ちすくんでいた。
「さあ、その袋を持って、車をおりて僕のあとからついてくるのよ」
潤一が命ぜられた通りにして、車を出ると、黒い背広の襟を立てた西洋泥棒みたいな風体の黒衣婦人は、彼女も手袋をはめた手で、彼の手を取って、グングンひきずるようにして、そこにひらいていた門の中へはいって行く。
空を覆う巨木の下をいくども通りすぎた。