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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
地名と地理
一
その結果は近年の引越しによって、本国故郷が不明になるおそれが少ない。元はあの村の地を耕しあの谷の米を食っていたのだということがほぼ分る。貴族武家では系図が大切だ。時としてはこれを偽作する必要さえもあったが平民の系図は大部分不明である。よほどの名家でない限りは十代十五代前の祖先は何氏何某であったということも分らず、もちろん墳墓はどこにあるか知らぬという者が多いのである。ゆえにもしかくのごとき地名と苗字の関係によってほぼ祖先の生活根拠の故山を知ることを得、しかもそれに伴なってその当時の経済情態を一部分なりとも知ることができ、時と場合によっては自身その地名の在所へ行って熱心に調べてみるということになると、その結果は我々の血の中に当然に遺伝しているべきわが祖先の生活趣味を自覚することとなり、容易に国家結合の基礎を固めることができて揚足を取られやすい下手な説法などに苦心するの必要もなく、千年万年の後までも日本人は愛国心・尊皇心の強い国民であるであろうと信ずる。
(「地学雑誌」大正元年十月―十二月)
地名と地理
一
地名の研究に関しては、私はおかしいほどたくさんの無駄な苦労をしている。