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ちめいのけんきゅう

地名の研究

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁

青空文庫

二

必ずしも百年後世の学者に委付せずとも、我々だけの力でも相応にこれを利用する途があって、大へん結構な出版であったということを、同時代の人々からも言われることができると私は思う。そうしてその点をあたう限り具体的に説明してみることが、おそらく諸君の期待に副う所以であろうとも思っている。

二

最初の出発点は、地名は我々の生活上の必要に基いてできたものであるからには、必ず一つの意味をもち、それがまた当該土地の事情性質を、少なくともできた当座には、言い表わしていただろうという推測である。官吏や領主の個人的決定によって、通用を強いられた場合は別だが、普通にはたとえ誰から言い始めても、他の多数者が同意をしてくれなければ地名にはならない。親がわが子に名を付けるのとはちがって、自然に発生した地名は始めから社会の暗黙の議決を経ている。従ってよほど適切に他と区別し得るだけの、特徴が捉えられているはずである。ところが現在の実際はどの地方に往っても、半分以上の地名は住民にも意味が判らなくなっている。世が改まり時の情勢が変化して、語音だけは記憶しても内容は忘却せられたのである。