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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
二三 ハンタテバ
大同元年に在田郡と改称した。『碩鼠漫筆』にはアタと訓むべしとあるが、『万葉』には足代の字を当て、また天皇の御名安殿を諱みたりとあるから、おそらくは旧説が正しいのであろう。安諦の故地はいまだいかなる地形であったかを知らないが、『高野文書』によれば、湯浅氏が居を構えた阿弖川荘の中心は、今の海岸の地ではなくて、この川の上流山中にあったかと思われる。
前に信濃のアタラ沢を挙げたが、同じ国にはまたアタル沢という地が二三ある。アテ・アタがもし同じとすれば黒川氏の説も誤りではない。アテラの本義も自然にこれを説明し得よう。何となればアダには徒爾または障礙の意味があるからである。アタの地名の古いのは九州南部の吾田・阿多がある。もしこのアタが東漸してついに羽前の左沢となったとすれば、一語の沿革もまたきわめて大きな歴史を解明し得るものといえる。『日本書紀』大化五年三月庚午の条に、秦阿寺という人の名が見える。その命名の所由を知ることができないが、試みにこれを附記しておく。
二三 ハンタテバ
ハンタテバという地名は信州その他の山地の小字として折々あったように記憶する。またハシバというも同じ由来を有するものかと思うが、文字は区々で、飯場または飯立場と書いたものが最も多い。