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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

隅田公園

……その時分、冬になると、その小松嶋の発着所のまえにも、鐘ヶ淵の発着所のまえにも、枯蘆のむれが日に光りつつ、しずかに、おりおりの懶い波をかぶっていたのである。……その感傷に触れたいばかり、二十代のわたくしは、用もないのにしばしばかの女を利用したのである。……

隅田公園

隅田公園の土曜日の夕方ほど男と女の、……くわしくいえば、若い会社員と、それに準じた年齢の女事務員との一対ずつのもつれ合いつつあるいているところはないだろう。……と、しみじみそう感じられるほど、かれらは、おたがい同士、無知であり、ほしいままである。……雨の降らない七月の末の、風のない、曇った空の下での、ぱさぱさに乾いた芝生、真っ白に埃をかぶった植込み、それらのまた、何んとかれらに無関心なことよ。……しかも、そこには、河に沿った柵のそとのスロープに、浴衣がけの一人の若い男あって、しきりにそのとき尺八をふいているのである。……上げて来ている潮の、かれのなげ出したその足の下に、しきりに塵芥を運びつづけていることでも、かれは、かれの耳にはさんだバットの吸いかけとともにことごとくすべてを忘れ切っているのである……それほどかれは夢中でふいているのである。