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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

浅草よ、しずかに眠れ

駒形のどぜうや

……人でいえば、急に、めッきり、年をとったという感じでした。

披官さまの鳥居のまえに出ました。どうしたのか、そのあたり、一ぱいのしどけない水たまりでした。

花の雨披官稲荷のちかくかな

むかし、そんな句をよみすてたことのあったのをおもいだしました。

間もなく、わたくしは、言問橋の上に立ちました。

――どうです、このごろのこの隅田川の水のきれいになったことは……

と、土地にゆかりのある連れの一人はいいました。

――なるほど……

と、わたくしは、たまたま退き汐どきの、底まで透いてみえる川の上をみ下しました。

川をへだてた向島の桜は、雲一つなく晴れた空の下に、五分通りしかまだ咲いていませんでした。……鎌倉の桜は、すでにもう二三日まえ満開をすぎていますのに……

東京新聞文化部諸兄――

――凝視にたえず……

右の一ト言を以て、この浅草に関するわたくしの報告を終ります。

(昭和二十一年)

浅草よ、しずかに眠れ

駒形のどぜうや

“第一図”を御覧下さい。

駒形のどぜうやであります。

“百助”がなくなり、“べにかん”のなくなったいまでもなお、この店だけは、もとのところにむかしのとおりに残っております。