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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

三

やさしすぎるほどやさしい先生だったからである。だから何をしても大丈夫という肚がみんなにあった。――そこへゆくりなくあらわれたのが香取先生……剛毅そのもの、果断そのもののような香取先生だった……

実際この紺の背広につつんだ先生の短躯……先生はふとって小柄だった……にはみるから精悍の気がみなぎっていた。太い眉、けいけいと輝いた眼、ふさぶさと濃い毛を無雑作に分けた頭。――運動場で号令をかけるのを聞いても、誰よりも、先生、一番キビキビと大きな声だった。

わたしの記憶にもしあやまりがなければ、ふだんは先生、尋常三年だか四年だかうけもちの先生だった。

三

明治二十八年にわたしは浅草学校へ入学した。だからそのとき、その高等三年のとき、明治三十四年だった。……「在職当に三十二年」を逆にかぞえて、今年は通算明治六十二年だから、とにかくそのとき、その高等三年のとき、先生まだ、学校へ来て三四年にしかならないときだった。――先生の元気一杯だったのに無理はない……。

その後、高等四年になったとき、わたしは先生のところの「夜学」へかようことになった。……といっても、それだけでは、そういっただけでは、いまの人には分らないかも知れない。