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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
浅草の喰べもの
(大正九年)
浅草の喰べもの
料理屋に、草津、一直、松島、大増、岡田、新玉、宇治の里がある。
鳥屋に、大金、竹松、須賀野、みまき、金田がある。
鰻屋に、やっこ、前川、伊豆栄がある。
天麩羅屋に、中清、天勇、天芳、大黒屋、天忠がある。
牛屋に、米久、松喜、ちんや、常盤、今半、平野がある。
鮨屋に、みさの、みやこ、すし清、金ずし、吉野ずしがある。
蕎麦屋に、奥の万盛庵、池の端の万盛庵、万屋、山吹、藪がある。
汁粉屋に、松邑、秋茂登、梅園がある。
西洋料理屋に、よか楼、カフェ・パウリスタ、比良恵軒、雑居屋、共遊軒、太平洋がある。
支那料理屋に来々軒がある。
この外、一般貝のたぐいを食わせるうちに、蠣めし、野田屋があり、てがるに一杯のませ、且、いうところのうまいものを食わせるうちに、三角、まるき、魚松がある。
これらのうち、草津、一直、松島、大増、新玉、及び、竹松、須賀野、みまき等は、芸妓の顔をみるため、乃至、芸妓とともに莫迦騒ぎをするために存在しているうちである。宴会でもないかぎり、われわれには一向用のないところである。
往年、五軒茶屋の名によって呼ばれたうち、草津、一直、松島の三軒は右の通り、万梅は四五年まえに商売をやめ、今では、わずかに、大金だけが、古い浅草のみやびと落ちつきとを見せている。