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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
四
をもって行ったあの一行のなかにも入っていたから不思議です。……
四
……その深川座はいま活動写真の小屋になりました。震災後、新富町の新富座がそうなったように、柳原の柳盛座こと中央劇場がそうなったように。
松竹直営、辰巳映画劇場。
半バラックの、簡素な、黄色い漆喰塗の建物の前面にそうした金文字のとりすました貌に輝いているのはいい、切符売場も、木戸口も、看板も、用捨なく地上げをした前っ側の往来の底に半ばトボンと落ちこんでいます。――そのシガをよく両っ側にならんだ植木屋の夜店の荷がかくしています。その荷がまたさつきばかり、白い花をもったさつきつつじばかり。……朝からふったり止んだりの、梅雨の取越しのようにはッきりしない空、暗い、じめじめした空気のなかにいかにそのもり上った白い花のいろの哀しくめだたしいことよ。――いえば、それはすぐそのそばに出来たばかりの富岡橋……石の、幅の広い、水いろにやさしく塗られた欄干をもった橋のたもとに高々とともるであろう灯。やがてもうともりそめるであろう静かな灯影ばかりを偏えにたのんでいるといった光景。――一つには人通りの以前にかわらず少ないことが、ゆくりなくそうした空しさを感じさせたのかも知れません。