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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

六

の附録に、黙阿弥の書いた報条の文章が五十種ばかりあつめてある。その中に、“浅草寺中見世通り、ねじやか堂地内”の“天家寿”という小料理屋……だろうと推定される店の開店のあいさつが入っている。

“丼天麩羅

雑魚場料理

曙山家橘が呉服店の、其口上に衣をかけ、御ひゐき願ふ天家寿は、今唐桟の新見世ながら、御得意多く売込んで、彼古渡の老舗におとらず、幅広ならぬ手狭裏家へ、表をこして御来駕ある、御馴染様の御註文に、扨天ぷら斗りでは、異国仕入の毛類に等しく、酒好口に重ければ、一寸手軽にあつさりと、洗魚に碗盛塩焼ぐらい、地織結城の活魚もので、ざこば料理も初めよ、と御進めゆゑにとりあへず、てうど時候も初袷に、天ぷらの外二三種は、お好み次第に庖丁入、直に仕立て差上ぐれど、行丈揃はぬ器の上、糸さへ笑ふ手際のふつゝか、只鮮き本場の魚を、遣ふを曠衣の売出しに、仕立栄ある御とりはやしを、主人と共/\願ふにこそ。

卯月吉日うり出し河竹其水”

寝じゃか堂の地内には、黙阿弥も、天保十四年から明治二十年まで住んでいた。安政二年の大地震にもそこで逢った。

折角、こうした開店のあいさつを黙阿弥に書いてはもらったが、“天家寿”は、ソロバンがとれなかった……のかどうか、それは分らないが、結局、店を人に譲った。