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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
嘗て、わたしは、丸の内の、高い建物と建物との間のおでんやの屋台のまえで、ほととぎすをきいたという話をだれからか聞いた。……ほととぎすというものに、わたしの、この話をきいたときほど現実感を感じたことはない……
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夜店ほどよく季節を知っているものはない。ことに、この、夏に於てそうである。……といったら、すぐに、古本、古道具、日用品のいろいろ、四季いつのときでもかわることのないそれらの店の、律義に、透きなく並んだあいだに交っての金魚屋の荷をあなたは感じるだろう。虫屋の市松しょうじをあなたは感じるだろう。燈籠屋の、暗く、あかるく、月をうつしてまわるそれぞれのよるべない影の戯れをあなたは感じるだろう。……と同時に、風のない、星のひかりに満ちた、たかだかと霽れた空をまたあなたは感じるだろう……
が、このうち、最も早く、五月という声をきくと一しょに出そめるのが金魚屋である。そのあと一ト月、六月になって出はじめるのが虫屋である。そして、そのあともう一ト月、七月に入って、はじめてすがたをみせるのが燈籠屋である。……ということは、金魚屋の、いやが上にもあかあかと宵の灯影をうき立たせるその幾つもの荷は、涼しい水の嵩は、すぐもうそこに祭礼の来かけている町々のときめきを語り、虫屋の、ことさらに深い宵暗を思わせてしずまり