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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

正月

が、それよりも、日が暮れてである、夜に入っての光景である。

すべての表通り、大通り。……しばらくそこから切れた裏通りの、小さい店々の暗いそれぞれの軒さきに下げられた玉子形の大提燈。……定紋ものものしい大提燈。……あの黄色くぼやけた火のいろほど、年を守る、年を惜しむというこころのつつましさ素直さを、しみじみ感じさせるものはないだろう。

「大晦日の晩に、寝る奴ァ馬鹿だ……」

……もし、それ、そのとき、あなたが眼を空へ向けるならば、屋根をぬいて立並ぶ笹のつらなりを照らして、月の飽くまで白く、飽くまで蒼く、飽くまで冷やかにかかるのをあなたは御覧になるだろう。

(昭和五年)

正月

*

元日の晩ほどさびしいものはない。……すくなくも、わたしの、中学を出る時分までの「東京」ではそうだった。……もの心つくとからだから、そうした感じを、いまなお、はッきりわたしはもっている。

大晦日のばんに

寝る奴ァばかだ……

という本文通り、夜明しはしないまでも、どこでも明け方の四時五時まで、かんかん燈火をつけて起きていたあくる晩である、表通りといわず、裏通りといわず、日の暮れると一しょに、どこの店もいそいで大戸を下ろした……くらいである。