輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

しもたやはなおのことの、町々は、一年のはじめの日をまず安息に入った。……ということは、いつも出る広小路の夜店さえ、その晩にかぎって出なかった。

で、その、がらんとした、ひッそりした中を、門々の笹、しめかざりをならしていたずらに強く空っ風ばかりふきまわった。そして月が……霜に凝った月のひかりがまた、いたずらに白く、その笹の葉をすべって落ちた。

*

その空っ風の……笹、しめかざりを鳴らしてふきまわる、その空っ風のおもい出させるものに白襟の芸妓がある。

ということは、その空っ風のなかを座敷から座敷へいそぐ人々の、その抜けるような美しい姿である。笄を挿した髪、下げた帯、左の手にとられた褄。……月のない、ゆきずりの、そのあたりの闇の濃けれは濃いほど、その美しさはいや増した。

*

それにしても出の衣裳を着た芸妓たちの、その白襟のかげにほのめく肌じゅばんの襟の真紅のいろこそ、雪にうもれた寒紅梅の、この世での哀しくうつくしいもののきわみである。

出のうちに逢ふやくそくも寒さかな

黒髪に映ゆる櫛の照りの、笄の艶の。……わたしはこの句の作者にねたましさをさえ感じるのである。