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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

浅草学校

一

の存在をわすれるのをわたしはつねに残念におもっている。――これこそ「仲見世」でのむかしながらのなつかしい景色である。

―――――――――――――――

……金龍山浅草餅の、震災後、いさましい進出をみせたのが、商売にならないかしてたちまちもとへ引っ込んでしまったのをまえに書きはぐった。――おそらく後代、その名のみを残してどんなものだったかと惜しまれるのがこの古い名物の運命だろう。

浅草学校

一

……学校の、門のほうを向いた教場の窓から、五重の塔の青い屋根のみえることをいったわたしは、それと一しょに、そこを離れた北のほうの窓から、遠くまた、隅田川の水に近い空をしらじらとのぞむことの出来たのをいわなければいけない。――花川戸、山の宿、金龍山下瓦町(広小路の「北東仲町」をいま「北仲町」といっているように、そこもいまは「金龍山瓦町」とのみ手間をかけないでいっている)、隅田川に沿ったそうした古い町々が、そこに、二三町乃至五六町のところに静かに横たわっている。――「馬道」とそれらの町々との間をつらぬく広い往還に、南千住行の、「山の宿」だの「吉野橋」だのという停留場をもつ電車のいまのようにまだ出来なかったまえは、同じ方角へ行くガタ馬車が、日に幾度となくわびしい砂けむりをそのみちの上に立てていた。