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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
少しく鎮まるのを待つて、程近い我が家へ辿り着いて見ると、元来野暮に手堅く出来てゐるだけに、家は辛うじて倒れないでゐたが、土蔵の壁までもすつかり震ひ落されて、四方八方に燃え上る火の手が見えたといふ。彼は僅かばかりの貯へを取り出して来て、扨て暗然として妻女に向つて言つた。
「どうやら少し目鼻がつきかけたと思つたが、かういふ災難に出逢つてしまつた。芝居も三座とも焼けてしまひ、此の有様ではいつ世の中が直るか分らない。厄負けがしたのであらう――」
あたりの惨憺たる光景を見ては、まつたくさうした嘆声を発して、落胆せざるを得なかつたものらしい。それを聞いた妻女は、彼の傍へ寄つて励ました。
「旦那、そんなに沈まないで下さい。この災難は一列一たいのことです。弱い気を出さないで、此の地震から、ふるひ起きるやうになつて下さらなくちやいけません」
「うむ――さう言はれて見ると、成程さうだな」
意気沮喪しかけた黙阿弥も、この妻女の健気な一言によつて気を取りなほし、ほんたうに奮起する気になつたのだといふ。”
と、河竹繁俊さんは、そのころの黙阿弥の動向を、“『勧進帳』・『忍ぶの惣太』