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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
二
恥辱をあとにもさきにもうけたことがなかったのである。そんなへまをしたことは一度もなかったのである。――たとえば夢ごこちに、茫然とただ、われとわが足もとをみてわたしは立っていた。――やがて悲しさが身うちにはっきりひろがった――ボロボロととめどなく涙がこぼれて来た。
が、それをみてわたしのために起ってくれたのが「つるよし」のおばァさんである。「つるよし」のおばァさんというのは、わたしと同じ級に女の子をよこしていた吉原のある貸座敷の隠居で、始終その子に附いて来ては、ともども一日学校にいた。外の附添いたちと小使部屋の一隅を占めて宛然「女王」の如くにふるまっていた。小使なんぞあごでみんなつかっていた。――その「つるよし」のおばァさん、「あの子はそんな子じゃァない、立たせられるようなそんな悪い子じゃァない――そんな間違ったことってあるもんじゃァない」とわが事のようにいきり立ち、わたしをそういう事にしたその先生のところへその不法を忽ちねじ込んだものである。
二
その先生、高等四年(というのは最上級のいいである)うけもちの、頬ひげの濃い、眼の鋭い、決してそのあお白い顔をわらってみせたことのない先生だった。