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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

――下りたのではない、下ろされた。警戒にあたった巡査と在郷軍人との勇敢にふりまわす提燈の火に、自動車という自動車(そうしてまれに俥という俥)ことごとくそこにせきとめられたのである。

そのまま、わたしたちは、その電車の線路に沿って弓形に大きく曲った広い往来を――区画整理の完了した広い往来を――広い故に暗い……ということは、両側、おなじような恰好の、きわめて栄えない、きわめて実直な、きわめて世帯じみた、たとえばおでんだの、すしだの、アイスクリームだのの屋台の既製品ばかり所狭く並べた万屋台車製造販売の、銅壺だの鍋だの天ぷらの揚げ台だのをうず高くつみ上げた銅器類製作の、煙草だのパンだのの飾り棚を引拡げた店飾陳列の、「時代の生んだ」鉄網万年襖商の、そうした特殊の、めずらしい、誰にでも呼びかける必要のない店々ばかりのならんでいる関係で、その店々たがいの、謙遜な、つつましい燈火の影は決してそこにまじり合ったり溶け合ったりしないからである。……往来をぞろぞろつづく人の流れのなかにまじってあるいた。自動車も俥も通らないから、あたり、そうなるとうそのようにしずかである。