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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
口吻でもあきらかなように、永観は徹頭徹尾な北条支持者であった。――幕府もいけないが中世幕府ごろの善政に醒めるべきである。流血は無用だ。改革の次に何が来るかだッてわかりはしない。承久の愚を二度もくりかえすな、というのが持論なのである。
「ですが、ご老体」
「ですが? なんじゃの」
「かりに一天の御座にもあるべきお方が、ここらの浦へ一舟を寄せて、もし、頼むと仰せられたら、どうしましょうなあ」
「どうもこうもないわさ」
「ご老体でしたら」
「ただちに浜へ弓矢を布き並べ、匹夫同様なご行動は、おつつしみありたしと、申そうず。それでもきかねば追ッ払う」
「でも、窮鳥フトコロニ入レバの古語すらあるではございませんか。わけて武門の情け、この国の者として」
「嘘よ」
永観は一笑し去って。
「長年どの。そういうお腹の底には、家のほまれ、またあわよくば、潮に乗って、という欲心も道づれじゃろ。武門おおむねの唱える大義も、まあそれじゃな」
「しかし名を尊び家を興すは、武門の伝統ではありますまいか。時にし会えば」
「人間、無事にめぐまれていると、ふと、ひょんな気もおこるものだ。……何かの、ここらの里へも、そのような風が吹いて来たとでもいう仰せか」