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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
釘
そして遠くはない浦の方を眺め合った。――渥美ノ海はあくまで碧く、なぎさは白い弧を描いており、馬やら人やらで熱風を渦まいていた。そしてそのなかに、いま船からおりたばかりの宗家の使いと、白髯の一色刑部とが会見の礼を交わしているのが見えた。
釘
幕府の第四次の召集令は、鎌倉近傍だけでなく、遠くは房総から、甲信の方面にまでわたっていた。それも、
一々参府ニ及バズ、各、領国ヨリ即日、出兵セヨ
という急命で、宗徒の大小名二十一家が狩りもよおされ、現地での結集総兵力は、ほぼ二万をこえようと見られていた。
そして、それの総帥には、北条一族中での大族、
名越尾張守高家
が任ぜられ、べつに、副将とはいわず、からめ手の総大将として、
足利又太郎高氏
が、あげられていた。
高氏は郷里足利ノ庄に居ず、去年、京の羅刹谷をひきあげたのちも、ずっと鎌倉表にいた。だから彼の出陣は鎌倉から立たねばならない。ところがその高氏すら腰を上げないうちに、いちはやくもその日――その日というのは三月下旬の二十六日――佐々木入道道誉が、二階堂のわがやしきを引払って、第一番に西上の途についた。
大蔵の足利屋敷ではみな、