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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
「なるほど」
「お汝は、遠くの黄塵を、新手の参加と見たというが、それも違う」
「では何ですか?」
「その逆だ。おそらく、長陣の寄手のうちから、ぞくぞく、所領の自国へさして立帰る地方武者が出ておるものと思われる。なぜならば」
と、正成があとを言いかけたときである。ふいに地震のような地鳴りが、ズ、ズ、ズっ……と、ここの櫓全体をゆすぶッた。
「土龍どもめ!」
正季は、やぐら組の横木から、下の断崖をのぞきこんで。
「兄者。敵の坑道掘りも、いつのまにか、山のような土を谷あいに運び出していますゆえ、もう櫓の下近くまで掘りすすんで来たのかもしれませぬ」
「敵ながら根気がよい」
正成は笑った。そして、
「寄手の苦計も、いよいよあの手この手と、足掻くだろう。……そこでいま申したことだが、後醍醐のきみが、伯耆あたりに御安着とすれば、それは播磨、伯耆の二つの大山寺によって守られ、ただちに勅の檄は四方へ飛ぶ。それにこたえて、今日まで雌伏していた九州、四国、中国の宮方どもも一せいにふるい起つ。――で、当然なのは、各地でおこる土地の斬り奪りや、さまざまな抗争だ」
「わかりました。ここ千早の城下へ寄せている鎌倉勢は、みな去年から年をこえての長陣となっている地方武者。