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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
「……右馬どの!」と、すり寄ッて。「それならまたとない吉いお門出、その折には、藤夜叉が一生のお願いを、どうぞおかなえ下さいませ」
「時は近い、と申したのはそのことです。かならず、あなた様と若ぎみのお手をひいて、殿の御陣所へうかがい、右馬介が十年の労と一命に替えても、ご父子の対面を、お願いつかまつる所存でおります」
「ご恩は忘れませぬ。ああ、うれしい。けれど、なろうならば、その上に」
「なお、まだ何か?」
「殿へおすがり申してみてください。和子もはや十一です。しかも父高氏さまにとっては一代の御出陣。いっそ合戦にもお連れあそばして、そのよい日を不知哉丸さまの初陣ともしていただきとうぞんじまする」
「なるほど」――右馬介は感動した。しかしこれは不知哉丸を擁している郷党たちの意見もきいてみねばならず、彼にもひきうけられる自信はなかった。
「そうそう、つもるおはなしで、つい申しおくれましたが」
右馬介は、急にふところをさぐりだした。そして、
「これは、草心尼さまからおあずかりしてきたお手紙でございまする。なにやらあなたさまのことを深くお案じのようで」
と、藤夜叉の前にさしおいた。