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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

あの婆娑羅どのだ、軍装も図ば抜けているだろうと思うのである。

その佐々木道誉の陣立ちは、さしてたくさんな兵ではなかった。多くは近江伊吹の国元においてあるからであろう。二百たらずの小勢であった。けれど二階堂のやしきから貝の音にしたがって歩武堂々と町なかも意識して粛々とながれて来た。期待のとおり装いも見事であった。

馬上の道誉は、黄の縅しのよろいに、四ツ目結の紋を打った陣笠をかぶっていた。彼は、くわ形の大かぶとだの大えぼしなどは嫌いとみえ、自分の考案で作らせた狩猟笠に似たのをこの日も用いていた。人はそれを呼んで、

道誉笠

と、いったりした。

旗さし物は、黄に白抜きである。旗本十二人のいでたちも、兵の笠じるしも、荷駄の足軽脚絆までが、総じて黄色と白のだんだらだった。“山吹備え”“山吹一揆”とこれは都でも人目をそばだてた特徴なのだ。

「とまれ」

という令に、鶴ヶ岡の大鳥居の前で、ややしばらくの停頓をみせていた。

道誉の姿が、そこで下馬して、森のうちへすすんで行くのが小さく見えた。社前に祈誓をこめて行くのだろう。いかにも神妙な大将におもわれた。

さらに彼は、若宮大路の執権邸の前でも下馬して、柳営内の桟敷のほうへむかって、うやうやしく一礼していた。