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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

でもかなりな時間は眠られたようである。やがて柵門の方に人馬の喧噪が聞かれだしたころには、陽も高かった。そして帝以下の妃たちは、朝の身粧いからすべてをすませ、

「いつでも」

と、次の運命の所作にしばしを委せるかのように迎えを待っていた。

この日、清高は晴れいでたちで、軍兵二百余人をつれ、やがて階下へ来て、

「よい日です。あちらには、万端のご用意もできておりますれば、ご心配なく、おわたましを願いまする」

と、御立座をうながした。

帝には、あじろ輿を。

また、三名の妃には、貧しげな板輿が与えられ、侍者二人は、馬の背だった。

八尾川ぞいに、西郷の港へと思いのほか、軍兵の列は、島奥の原田の方へえんえんと流れて行った。――港の人目をわざと避けたものにちがいない。――歌木の山地を迂回してやがて淋しい島南の磯へ出た。

都万の漁村だった。

船手の勢が、船をそろえて待っていた。いささかの休息さえない。それぞれ、船へ追い乗せられた。そして島前の三つの島影へさして、六海里の海上を帆が鳴りはためく。

たそがれ頃、帝はせまい島と島の両ぎしを船のうちから眺められた。はや島前へ着いたのである。