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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

この狂気者、早う補えい!」

股立とって、バラバラと七八名が取り巻こうとしたのを、只ひと睨み!

「控えい! 陪臣!」

一喝しながら泰然としたものでした。

「身共のこの傷、何と心得おるかッ。百石二百石のはした米では、しみじみお目にもかかれぬ傷じゃ。よう見い。のう! 如何ぞ! わははは。ずうんと肝にこたえたと見ゆるな。――遠藤侯!」

チクリと痛いところを静かに浴びせかけたものです。

「お身、時折は鏡を御覧召さるかな」

「なにッ。雑言申して何を言うかッ。小地たりとも美濃八幡二万四千石、従四位下を賜わる遠藤主計頭じゃ。貴殿に応対の用はない。とく帰らっしゃい」

「ところが帰れぬゆえ、幽霊の念力は広大なものでござるよ。二万四千石とやらのそのお顔、時折りは鏡にうつして御覧召されるかな」

「要らぬお世話じゃ。見ようと見まいとお身の指図うけぬわッ」

「いや、そうでない。そのお顔でのう。ウフフ。あはは。まあよう見さっしゃい。ずんぐりとしたそのお顔で曲輪通いをなさるとは、いやはやお肝の太いことでござる。ましてや、曲輪の遊びは大名風が大の禁物、なにかと言えば二万四千石が飛び出すようでは、誰袖に袖にされるも当り前じゃ。