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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

四

「その方たちも出い!」

「でも、あっしたちゃ――」

「売られた喧嘩であろうとも、出入りがあった上は両成敗じゃ。何かと芝居の邪魔になる。早う出い!」

「なるほど、お裁き、よく分りました。ご尤もでござります――お見物のみなさま、飛んだお騒がせ致しまして相すみませぬ。下総十五郎、おわびいたしまする。小芳! 梅甫さん! 殿様のお裁きに手落ちはねえ。出ましょうよ」

下総十五郎、背中の野ざらし彫りは伊達ではないとみえるのです。物分りよく立ち去ったあとから小屋のうちは、またひとしきりどッとどよめき立ちました。

四

「御前。有難うござります! 申しようもござりませぬ。すんでのことに狂言が割れますところを有難うござります!」

事もなげに舞台の奥へ引き揚げていった主水之介を見てとるや、楽屋姿のまま飛び出して、拝まんばかりに迎えたのは団十郎でした。

「何ともお礼の言いようがござりませぬ。御前なればこそ、怪我人も出ずに納まりましてござります。お礼の申しようもござんせぬ」

「そうでもないのよ。丸く納まったとすればこの眉間傷のお蔭じゃ。身共に礼は要らぬわい!」

「いいえ、左様ではござりませぬ。