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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

三

「出方はおらんか! おうい! 出方! 早く鎮めろッ」

どッとわき立つ人の波! 騒ぎの中を、六人の木綿袴は、なおピシャリピシャリとおそいました。

打たれるままにまかせていたが、なかなかに打ち打擲はやむ色がないのです。

刹那! 下総男、すさまじい豹変でした。

「さんぴん、よさねえなッ」

ダッと一躍、花道の上へ飛び上がると、パラリぬいだもろ肌いちめん、どくろ首の大朱彫り!

「べらぼうめ! 下手に出りゃつけ上がりゃがって、下総十五郎を知らねえか! 不死身の肌だッ。度胸をすえてかかって来やがれッ」

彫りも見ごと、啖呵も見事、背いちめんの野晒し彫りに、ぶりぶりと筋肉の波を打たせて、ぐいと大きくあぐらを掻きました。

同時です。

舞台の幕をやんわり揚げて、ぬうと静かにのぞいた顔がある。

「御前だ!」

「早乙女の御前だ!」

まことやそれこそ、眉間の傷もなつかしい早乙女の退屈男でした。

三

観衆の目は、一斉に退屈男の姿へそそがれました。江戸名代の眉間傷がのぞいたからには、只ですむ筈はない。その眉間傷が今日はいちだんとよく光る。主水之介がまた実におちついているのです。

揚げ幕からずいと出て、のそり、のそりと花道をやって来ると、猛り狂っている黒鍬組小侍たちのうしろに、黙って立ちはだかりました。