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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁
二
アハハ……」
「ま! いけすかない……。でも、兄さんが来るときいてすこうし胸がおちつきました。もういや! これから、わちきひとりにさせたらいやざんすよ。今のような怕いことがあるんだから……」
丸あんどんの灯影の下を、小芳のむっちりとした湯上がりの肉体が、不気味な生き物かなんかのように、ぐいと梅甫の両腕の中にいだきよせられました。
二
「これはようこそ。毎度、ご贔屓さまにありがとうござんす。まもなく二番目が開きますゆえ、お早くどうぞ。ひとり殖えた、三人にしろとゆうべお使いがござりましたんで、ちやんと平土間が取ってござります……」
「じゃ兄さん……」
顔なじみの出方に迎えられて導かれていった桟敷は、花道寄りの恰好な場所でした。――下総から来た小芳の兄というのは、打ち見たところ先ず三十五六。小作りの実体そうな男です。そのあとから小芳、つづいて梅甫、兄さんなる男も梅甫も別に人目を引く筈はないが、この日の小芳はまたいちだんの仇っぽさ。こういうところへ来ると、三年曲輪の水でみがきあげた灰汁の抜けた美しさが、ひとしお化粧栄えがして、梅甫の鼻もまた自然と高い……。
出しものは景政雷問答、五番続き。