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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

四

「ぬしはん。またおいでやす――」

一揖しながらくるりとうしろを向くと、ぴたり襖をしめきりました。

「わははは、なかなか鮮かにあしらいおる喃。参った、参った。見事に負けたか。いや、よい、よい。京の女子も存外と面白いわ。――さてのう。負けたとならば何とするかな」

快然と打ち笑みながら、どうしたものかというように考えていたのを、隣りの一座は知ってか、知らずか、暫く騒がしいざわめきをつづけていましたが、そのとき不意に鋭く叫んだ声が、襖の向うからきこえました。

「やっぱり睨んだ通りじゃッ。切支丹宗徒に相違ないッ。珠数屋、神妙にお繩うけいッ」

四

「はてな※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

意外に思って退屈男は、すっくと立ち上がると、一刀はしッかと左手、きらりとまなこを光らしながら、さッと襖をあけました。

と――見よ! 一瞬前とは主客事かわって、珠数屋のお大尽は、今迄の取り巻侍だった四人の者に捕って押えられて、すでに繩目の恥を受けていたのです。その目の前には、また不思議な一個の観音像がおかれてあるのです。強いて名づけたら、いばら観音とでも言うか、頭にはいばらの冠をいただき、お姿もまた異相を備えた七八寸の土像でした。