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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

三

「急いでそち、あとの二人を取って押えろッ。こ奴共も、六松とやらいうた怪しい下郎と同じ穴の貉やも知れぬ。いぶかしい手習師匠の住いさえ分らば、もうあとは足手纒の奴等じゃ。押えたならば、どこぞそこらへくくりつけておけッ」

自身の押えた二人をも、手早くそこの柱に窮命させておくと、六松の逐電先をつき止めるべく、ただちに根津権現裏目ざして足を早めました。

三

行きついてみると、いかさま言葉の通り、算数手習い伝授、市毛甚之丞と看板の見える一軒が労せずして見つかりましたので、在否やいかにと、先ず玄関口にそっと歩みよりながら、家内の様子を見調べました。

と――、いぶかしや、そこに見えたのは、八足ばかりの雪駄です。子供のものならば商売柄不思議はないが、いずれも大人履きでしたから、退屈男に何の躊躇があるべき――案内も乞わず、ずかずか上って行くと、さッと奥の一間の襖を押しあけながら、黙然と敷居ごしに佇んだままでぐるり部屋の内を見眺めました。

一緒に目を射た八人の者の姿! いずれも五分月代の伸び切った獰猛なる浪人者です。その八人に取り巻かれて、床の間を背にしているのが、目ざした手習い師匠の市毛甚之丞であるらしく、そしてまたその市毛甚之丞の傍らに奴姿をして控えているのが、これぞ逐電先を追い求めてやって来たところの、古高新兵衛馬丁六松