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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
その言い方とその態度が、かの守田などとはまるで違って、頗る不人相で横柄なようにも感じられたので、わたしは子供心にも不愉快であった。彼に対する一種の反感から、わたしはただうなずいたばかりで、カステラの方へは眼もくれなかった。すると、団十郎は父にむかって、「芝居の改良はこれからです。」というようなことを言い、更にわたしにむかって、「あなたも早く大きくなって、好い芝居を書いてください。」と笑いながら言った。
それだけならば、単に当座の冗談として聞き流すべきであったが、彼は父にむかって更にこんなことを言った。
「わたしはそれを皆さんに勧めているのです。片っ端から作者部屋に抛り込んで置くうちには、一人ぐらいは物になるでしょう。」
むかしの人間は今の人間よりも早熟であった。わたしもその一人であったらしい。その当時まだ八歳ではあったが、団十郎のこの一言に対して、わたしは非常に憤激した事を明らかに記憶している。作者部屋というのはどんな所か知らないが、他人の子を芥か紙屑のように心得て、片っ端から抛り込むのは何という言い草であろう。実に失敬極まる奴だと思った。勿論、団十郎に何の料簡があったわけではなく、彼の性質として、自分の思ったことを率直に言ったに過ぎないのであるが、それを覚ったのは遥かに後日のことで、その当時のわたしが大いに