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しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁

青空文庫

……ことに相手が、うた沢の如きをたしなむタマだったら、たちまち、それからそれ口がほぐれて、雪のあしたの煙草の火、寒いにせめてお茶一ぷく、それが高じて酒一つ……

――何、それ?

――“琴責”の阿古屋がいうじゃァないか?

――ものしりね、あなた……

――はぐらかしたって駄目だよ。……そうにちがいないんだから……

――そうよ、その通りよ。……話をしているうちに、だん/\その人に好意がもてゝ来たのよ。……何んだか、それッきりでわかれちゃァわるいような気がして、“お酉さまへ行ってみません?”と、いってみたの。……そうしたら“うん、行ってもいゝ”……

――だもの。……浮気ものといわれても仕方がない……

――浮気なんてものじゃァないわよ、出来ごゝろよ、ほんの……

――浮気ャ、その日の出来ごゝろ、と、むかしッから相場はきまっている……

――あら、でも、それァ……

――でも、あゝして、肩を並べて、しかも男のほうがマスクをかけてあるいてるんじゃァ、どうしたって、たゞじゃァないよ、あの二人は。……おなしことでも、あれ、女のほうがマスクをかけていたら、どうだろう? ……そのわりに、いやらしくないかも知れないナ?