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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
二天門
というのは作者としてつぎのような叙述がしたかったからであります。
“……かれはいそいだ。そして、すぐ、仁王門の下に立った。
抱えきれないほどの太い柱のあくまで古びたその朱のいろなら、天井からさがった大提燈の、小舟町だの、四日市だのという煤けた文字になおかつ残った墨の匂なら、あやに垂れかわしたそのひかえ綱の古びなら、かれは子供時分から、その下に立つのが好きだったのである。ことに夏の日ざかり、ガランとした、人の声の全くたえたその下に立つと、うそのように涼しい風がどこからともなく吹いて来た。どんな暑さでも途端にかれは忘れることができた。……と同時に、かれの目に、隅田川のひろびろとした流れがうかび、青い蘆のしげった洲がうかび、白い帆をかけた舟のかげが寂しくうかんだ。”
仁王門についてのおもいでには、この外に、夏の晩、抱えきれないほど太い、その柱のかげの闇にでる蛍うりがあります……
二天門
浅草は、昭和十九年の十二月三十一日と、おなじく二十年の二月二十五日との空襲で手足をもがれ、三月十日のそれで完全にとどめをさされたのであります。観音さま界隈のぜんめつしたのは、じつに、その十日の日のことで、観音さまの十八間四面のお堂の焼けたのと一しょに、仁王門ばかりでなく、五重の塔も輪蔵も、荒沢不動も、久米の平内堂も、何もかもみんな