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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
そして、暑さに怯げない人々は……というよりも、暑さがつのれば募るほど、逆に、よけい意地になり、いろいろ嵩にかかって来る人出は、仲見世に、仁王門に、本堂の階段にあふれた。……となると、たまたまうかんだ空の雲よりも、すでに参詣をすました人たちの、手にもち、髪に挿した雷除けのお札のほうが、より白く、より美しく輝いた。
浅草馬道の小学校は、この日をもって一学期の試験を了った。
ということは、その晴れぬいた真っ青な空の下に、暑中休暇が来たということの、だから四万六千日と聞くと、人こそ知らね、いまでもわたくしは子供の時分のそのよろこびをおもいうかべることが出来る……。
が、暑中休暇が来たとて、わたくしは……わたくしばかりでなく、その界隈の子供たちは、だれも別段、山へ行くわけでもなければ、海へ行くわけでもなかった。かれらの生れ在所は揃ってみんな東京だった、従って、かれらにとっても、また、わたくしにとっても、一ト月あまり、ただ学校が休みというだけのものだった。でも、かれらの大ていは、日課として、向島の水練場へ泳ぎをならいにかよった。だから、まだ、いくらかでも凌ぎがついた。