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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

……けだし、新興浅草の神経を、率直に、直截に表明したものだろう。……これでは、二月、春とは名のみの、しらじらと雲の凍てた空にひびく初午の太鼓の音をこいしがるのは、こいしがるほうが無理である。……ということは、また、幾馬鹿だの、奥山の文公だのという哀しき風来坊、あるいは、精神障害者の、そのあたりの人込のなかに立ちまじることを許されなくなったこともたしかである。……

――けど、おかしなもんですねえ。

と、このとき、突然、内野君は口をひらいて、

――広小路の北側には、そんなにいろいろお稲荷さんがあるのに、南側のほうには、それらしいものさえない。……どういうわけでしょうねえ?……北と南で、それほど人の気がちがうとも思わないが……

――以前からそうでしたかしら?……仲町の古着屋街のどッかに一つ位あったような気がするけれど……

と、ぼくはいった。……仲町というのは、ただしくいえば西仲町で、そこは、両側に、古着屋ばかり並んでいる特殊な裏通りだった。古ぼけた、色の褪めた暖簾と、軒さきにいっぱいつるした、男もの、女ものの古着とで真っ暗だった見世のなかから、なま若い番頭や小僧が、往来の人たちを絶えず呼びこんでいた。