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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
舟にモータアもなく陸にトラックといったものもまだなかった。
銀子は千葉や習志野へ行軍に行く兵隊をしばしば見たが、彼らは高らかに「雪の進軍」や「ここはお国を何百里」を謳って足並みを揃えていた。
銀子はそこで七八つになり、昼前は筏に乗ったり、網で鮒を掬ったり、石垣の隙に手を入れて小蟹を捕ったりしていた。材木と材木の間には道路工事の銀沙の丘があり、川から舟で揚げるのだが、彼女は朝飯前にそこで陥穽を作り、有合せの板をわたして砂を振りかけ、子供をおびき寄せたりしていたが、髪を引っ詰めのお煙草盆に結い、涕汁を垂らしながら、竹馬にも乗って歩いた。午後になると、おいてき堀といわれる錦糸堀の原っぱへ出かけて行く。そこには金子の牧場があり、牛の乳を搾っていたが、銀子はよくそこで蒲公英や菫を摘んだものだが、ブリキの乳搾りからそっと乳を偸んで呑み、空の時は牛の乳からじかに口呑みに呑んだりもした。彼女はよく川へ陥り、寒さに顫えながら這いあがると、棧橋から川岸の材木納屋へ忍びこんで、砂弄りをしながら着物の乾くのを待つのだった。
二丁ばかり行くと、そこはもう場末の裏町で、おでん屋や、鼈甲飴屋の屋台が出ていた。