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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

十二

そして銀座で水菓子の籠を誂えると、上野駅まで自動車を飛ばした。しかもその時はもう遅かった。重い水菓子の籠を赤帽に持たせて、急いで歩廊へ出て行った時には、汽車はすでに動き出していた。

葉子はすごすご水菓子を自動車に載せて、帰って来た。そして着替える隙もなく、その籠を彼の田舎の家へ送るために、母と二人で荷造りを初めた。籠は大粒の翡翠色した葡萄の房や、包装紙を透けて見える黄金色のオレンジなどで詰まっていた。

「少しくらい傷んでも、田舎ではこんなもの珍らしいのよ。」

葉子はさすがに度を失っていた。

しかし彼女のその夜の気紛れな態度が、つまりどんなふうに今後の運命に差し響いたであろうかは、大分後になってから、やっと解ったことで、まれの媾曳から帰って来た時の、前夜二回の葉子の胡散らしい報告が、事実であったことが、庸三に頷けたのも、その時になってからであった。

十二

いよいよ葉子を病院へ送りこんでからの庸三は、にわかにこの恋愛生活の苦悩から解放されたような感じで一時ほっとした。それには永年の懸案であった家の増築ということも彼の気分転換に相当役立った。増築の出来栄えが庸三の期待を裏切ったことはもちろんであったが、一旦請負師の要求に応じて少なからぬ金を渡し、貨車で運ばれた建築用材を庭の真中へ積みこまれてしまうと、その用材から