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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
なし足をぬいて、前借は据置のままに大増の女中に住みこむなど、激しい気象のお神にも、拒ぐに手のない破綻は仕方がなかった。
銀子に兜町の若い旦那の客がついたのは、土の見えないこの辺にも、咽喉自慢の苗売りの呼び声が聞こえる時分で、かねがねお神の民子から話があったと見え、贔屓に呼んでくれる藤川という出先のお神の見立てで、つけてくれたのであった。やっと二十五になったばかりの、桑名の出であるこの株屋が、亡くなった父の商売を受け継いでから、まだ間もないころで、銀子は三度ばかり呼ばれ、そのころの彼女の好みとしては、ちょぼ髯を生やして眼鏡をかけ、洋服姿のスマートな、あの栗栖の幻影が基本的なものだったので、歯切れのわるい上方弁の、色の生白い商人型のこの男は、どっちかというとしっくりしない感じであり、趣味に合ったとは言えないのだったが、ぽちゃりとした顔や躯の皮膚も美しく、子供々々した目鼻立ちも感じが悪くなく、何か若草のような柔らかい心の持主で、いつ険しい顔をして怒るということもなかった。
藤川の女将は、年のころ五十ばかりで、名古屋の料亭の娘といわれ、お茶の嗜みもあるだけに、挙動は嫻やかで、思いやりも深そうな人柄な女であった。