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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
してすでに約束を無視したものだということに気がついていても、今更どうすることもできないのであった。庸三は持合せの金も少なかったし、それほどの建築でもないので、自分からかれこれ設計上の註文を出すことを遠慮して、わざと大体の希望を述べるに止めておいたのだった。
「余計な細工はいらない。とにかくがっちりしたものを造ってもらいたいんで。」
「ようがす。ちょうど材木の割安なものが目つかりましたから。」
請負師はそう言って、金を持って行ったのであった。この請負師は庸三の懇意にしている骨董屋の近くに、かなり立派な事務所をもっていて、その骨董屋の店で時々顔が合っていた。同じ店頭へ来て、煎茶の道具などを弄っている、その夫人のどこか洗練された趣味から推しても、工学士であるその主人に十分建築を委しきってよいように考えられたものであったが、仕事は別の大工が下受けしたものだことがじきに解って来た。人を舐めたようなやってつけ仕事がやがて初まり、ばたばた進行した。手丈夫ということは、趣味の粗悪という意味で充分認められないこともなかったが、形が出来るに従って彼は厭気が差して来た。しかしもう追っつかなかった。