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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

多少の誇張はしかたがあるまい。

しかも、彼の昨今は、

「待ちに待ったる日が来た!」

と心を奮ッている風だった。得意さだった。

その義貞への朝命は、十八日に降り、十九日には、はや京中出陣ぶれの勢揃いがおこなわれていた。――早朝に、彼は曠れの大よろいを着かざって、いそいそと参内に向った。朝敵征伐の節度(出征の祝い)を賜わるためにである。義貞はかがやく栄光の中に自分をみていた。

朝敵追討大将軍の首途

それには当然、朝廷でもなみならぬ期待のもとに、ずいぶん、古式に則ってその鼓舞をさかんならしめたものらしい。

王軍をうごかす。

それじたいが、朝廷の浮沈もここに賭けたことになる。やぶれれば朝廷たりとも、争覇の敵の驕りに屈する覚悟のもとでなければならない。

その大任を負って、新田右衛門佐義貞はいま、身のしまるおもいで、南殿の下にぬかずいた。――すこしさがって、弟の脇屋義助、式部義治、堀口美濃などの身内が、これまた、ひとかたまりに平伏している。

御庭の階下には、内弁、外弁、八座、八省の公卿百官がしゅくと整列しており、その視線はすべて、義貞ひとつに自然そそがれたままだった。