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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
八荒の旗
――能登ノ介の首、末吉真吾の首、小波のあるじ田所五郎左の首まで、かくの如くでござります」
と、それらの首級十幾ツをならべて検分に入れた。
長年が順に見てゆくと、その中には変りはてた梶岡の隠居、永観入道の首もまじッていた。
「ああ、永観どのか」
長年はそのしなびた法師首を抱き取った。そしてしばらくは涙と追憶になってしまった。
「信濃坊、供養をたのむ」
と彼へ首をあずけた翌日、長年はふたたび出て、中山谷を撃破した。――かくて寄手はほとんど伯耆の山野に影をひそめ、隠岐ノ判官清高は、残兵を載せて、島へ逃げ帰った。
けれど清高は、自領の隠岐も捨てて、またすぐほかへ逃げていった。なぜなれば、島全体が彼にそむいて、はや寝返っていたのであった。
八荒の旗
船上山の攻防は、ほぼ二十日たらずで下火になった。
いかに名和長年の一族がよく戦ったとはいえ、これには地方における幕府への信頼感も一度に冷めはてたことであろう。終始、ついに六波羅からは一軍の派遣もなく、加勢も見ずにしまったのだ。
功名の慾は慾でも、
「鎌倉どのの恩顧にこたえん」
として寄手に拠った多くの地方武者をみすみす中央の六波羅は見ごろしに見すてていたようなものである。