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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

な武者どもをさえ手玉にとって悩まし抜くとか。

長居せそ 心してゐよ

あづさ弓

矢はぎの川の 鷺のひとむら

これは「新六帖」にみえる行家の歌である。この歌ぬしもまた、この地にかかって、ぜひなく歓喜往生を遂げた旅の一人であったのだろう。

「いやどうも、征途のお途中、何かとせわしい御陣中へ伺って」

と、鎌倉の二使は、恐縮のていだった。

が、恐縮と、歓待に甘えるのとは、べつらしい。好意をよろこぶのは人の礼で、自然、宴に浮かれるのは旅情であるとしているような両使だった。

「では、はや深更にもなり、旅のお疲れもございましょうゆえ」

と、彼らの接待に臨んでいた直義はいとまをつげて。

「あらためて兄高氏もいずれ上命を拝しますが、何せいまだ、三河の手勢も揃わず、軍備混雑のさいでございますれば、明日も何とぞなおごゆるりと」

「お、ごもっとも。当方はお使いの役さえ果たせばよろしいこと。ご都合で一両日はいかようにもお待ち申す」

と、工藤は杯を洗って、もひとつと、直義へさし、直義はうけて、その返杯をさいごに起ちかけた。

「だいぶそれがしも酩酊しました。しからばおやすみを」

「あ、ここにみえるたくさんな女たちは」