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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
この師直めがおいさめも、今日ばかりはお耳をかすことではなかった」
「ともあれ、陣を退くなど、もってのほかだぞ。むしろ前へ出ろ。そして四千余騎、街道をまん中に三手に備え、いつでも、不破、伊吹など一ト揉みの気勢を示せ。神だのみするよりは、そのほうが、はるか兄者の強味となろう」
野上から不破のあいだ、わずか一里余でしかない。
直義の指揮下に、全軍は前へ押しすすめられ、佐々木方の旗幟も兵の影も望まれる松尾山、不破の真下へと迫りかける。
こうしたあいだに。高氏は後のうごきも知るはずなく、山と山とにせばめられた不破ノ関の隘路、大木戸坂へかかって、供頭の桃井直常へ、
「直常、木戸のうちへ物申せ」
と、いいつけていた。
直常はただ一騎で柵のそばまで進み、これは足利又太郎高氏ご自身であること、そして、佐々木殿へお会いしたいという由を、声たからかに言い入れた。
佐々木方では、とうに、遠望しあっていたが、供は少なく、二つの輿も? と怪しんで、鳴りをひそめていたものらしい。
すぐ柵門のそばの関屋から、一人の武将があらわれた。そして直常と、二、三応答のすえ、
「しばしお待ちを」