輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

元来、鎌倉幕府があることは知っても、朝廷などは念頭にもない者だったとみえる。清高の抱いている畏れとか怯みなどはまったく持っていなかった。

むしろ彼から小首をかしげて、

「……が、むずかしい」

と言い出したのは、その鎌倉の密命に従って、後醍醐を亡いたてまつるにせよ、帝の周囲も、つねに敵地に在る細心な警戒をおこたらないことでもあるし、その手段にしても容易ならぬ思いが先立つことだった。

帝は、いわば配所の孤帝。

ふたりの公卿と三名の妃は、かしずいているが、まったくの無力である。遠い幕府の眼からはなおそう観えているだろう。けれど、じっさいには、警固の中に加わっている地方(本土)武士のうちにも、また、いつか島内へ流れこんで来ている外者の山伏や僧などの宮方臭い人物までも、暗に配所をめぐって、帝を守る衛星の形をなしているのだった。

それは、知りながらも、宗家道誉の命で、きのうまでは、見すごして来たのであった。しかし、こうなれば、それが大きな邪魔になる。

「おやかた、判官の殿」

「…………」

「いかがなされた。まだお迷いでおざりますか」

「いや、もう腹はきめた。迷ってはおらん。