輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
と、兵のひとりが指さした。
「権大納言ノ局のお小屋。また三位どの(廉子)の住むお小屋は、もすこし先の山蔭です」
彼女はだまって小道をそっちへ選んで行った。――こうして兵の案内でそぞろ黒木の御所へ登って行く自分を知れば、ほかの妃たちがきっと今夜の自分の寵幸を妬ましい眼で眺めるにちがいない。
小宰相はそれを意識し、また帝のやさしい腕を胸にえがきなどしながら、わざとゆっくり小道を拾っていた。
そして、今夜の幸を機に、帝のお胤をやどしたことをお耳に入れよう。これから先も帝の御愛情は何十倍も厚くなって下さるだろう。そのうえ折々にはわが身だけが、黒木の御所の夜に召されて行く。そうしたことにならないものか。
「それには、能登を怒らせず、上手にあしろうて行かねばならぬ。わけておそろしい機会を待ちかまえているあの男を」
帝のお命のあやうさに思いいたると、彼女のほかの考えは一切消えて、ここの松風はただまっ黒なものになった。そのことも今宵は帝にささやいて、帝のよいご分別をうながさねばならぬ。……さもなくば、ご一命は風前のともし火。身にやどしたお胤は父御を知らぬものになる。