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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
ちょうどそんな話をしている時、この世にも不思議な事件が、向うから飛び込んで来たのでした。
「おや、八、どうやら世直しが飛び込んで来たらしいぜ。朝っぱらから女の声だ。明神様にかこつけて、御用聞の家へ来る客は、きっと面白いネタを持込んで来るよ」
そんな事を言っている平次は、やがてお静の案内した、四十前後の女――三崎町の桶屋、久兵衛の女房お夏というのを迎え入れました。
「銭形の親分さん。お上の御用の多いところへ、こんな事を持込んじゃお気の毒ですが、どうぞ聴いてやって下さい――実は」
お夏は不安そうに四方を見廻しました。縁側に近く八五郎のガラッ八が、まだ鼻毛を気にしているのです。
「あれですかえ。お神さん」
「…………」
「御存じの八五郎で、一本立の御用聞には違いありませんが、何を聞かしたって大丈夫ですよ」
「親分さん、変なことがあるんですよ。――主人のへ言ったって、取り合ってくれませんから、明神様へお詣りをすると言って、出て来たんですが」
「…………」
平次はガラッ八と顔を見合せました。ツイ今しがた話していた、同じ文句が、お夏の口から不用意に飛出したのが可笑しかったのです。