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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「病人の見舞で」

「誰か、病気か」

「寅んとこの隣りの大工が、人にからかって手首を折りましてな」

「庄吉という男か」

「御存じですかい」

「わしの朋輩が折ったのだ。あいつは、掏摸でないか」

「ええ、時々やります。しかし根が、真直ぐな男で、悪い事って、微塵もしませんや」

「悪い事をせぬて。掏摸でないか」

「だって、掏摸と、泥棒たあちげえますぜ。庄吉なんざ、あっさりした、気のいい男ですぜ。あいつの手を折るなんざ、可哀そうだ」

「全く」

稽古部屋の人々が出て来た。富士春は、小女の出す湯呑を一口飲んで

「休さん、南玉先生から、さっき、御土産が――」

「そうそう」

と、一人が風呂敷包を渡した。益満が、開けると

「何んだ。薄汚い」

一人が、こういって、益満の顔を見た。

「山猫を買いに行くのには、これに限る」

富士春が

「悪い病だねえ」

「師匠の病気と、何れ劣らぬ」

と、いいながら、益満は、袴をぬいで

「小道具を、一つあずかって置いてもらいたい。猫は買いたし、御門はきびし」

益満は、そういいながら、部屋の隅で、汚い小者姿になって、脇差だけを差した。そして、両手をひろげて

「三両十人扶持、似合うであろうがな」